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お知らせ

【シリーズ:体験記⑬】言葉と恐怖をつなぐ鎖は綿に変えられる

2025.8.12

1.「なんでや!」と反発したくなる言葉

「なんでや!」って激しく反発したくなるような、相手を攻撃したくなるような反応が出てしまう言葉ってありませんか?

わたしはあります。

なんでこんなにも強烈な反応が出るんだろう?

この怒りはなんでこんなにも長引くんだろう?

そんなふうに思って、自分を深掘りしたことがあります。

2.激しい反応を引き起こす言葉の正体

わたしの場合、例えば「なんで〜したん?」「なんで〜せんかったん?」という言葉に激しく反応していました。

わたしにとっての意味は、

「馬鹿じゃないん?こんなこと普通はせんわ。そんなことも分からんのん?あんた生きる価値ないわ。」でした。

それ以外の意味は持っていませんでした。

相手がその言葉を使った状況や考えていることは全く確認もせず、わたしは機械のように反応していました。

それ以外の言葉は、状況や相手の関係性、相手の価値観なんかを想像して、「こういう意味かな?」と断定せずに受け取ったり、よく分からなかったら相手に意味を確認したりできるのに。

なんでこの言葉はこんなにも激しく反応するんだろう?

3.怒りの奥にあった「恐怖」という感情

湧いてくる怒りの感情の裏に隠れているものを探ってみると、恐怖でした。

母に対する恐怖でした。

正確には、わたしが作り上げたわたしの中の母への恐怖です。

4.わたしの中に染みついた「否定の言葉」

わたしは幼いころから、母から激しく否定されて生きてきました。

母がわたしを否定するとき、

「なんでそんなことしたん!?」「なんで〜せんかったん!?」というフレーズをよく使っていました。

その否定のされ方が、わたしの中に染み付いてしまっていたんです。

だから、母ではない人がわたしに「なんで〜したん?」「なんで〜せんかったん?」というフレーズを使うと、わたしの中の母が共鳴して、わたしは母から否定された感覚になってしまっていたんです。

5.怒りは恐怖の防衛反応だった

母からの否定はわたしにとって、わたしの命が奪われることと同じでした。

だから、ものすごく恐ろしくて、自分を守るために反発しないといけなかったんです。

でも、母に対しては恐ろしくて反発できませんでした。

だから、母以外の人に対しても、反発の仕方が分からない。

だから、怒りの感情を消化できず、ずっと怒りが続いてしまう。

そもそも、相手への反発ではなく言葉そのものへの反発であり、恐怖の対象はわたしの中の母に対してなのに、それをわたしは相手への反発だと勘違いしていたんです。

だから、感情の消化なんかできるわけがなかったんです。

6.言葉と恐怖をつなぐ鎖に気づいたとき

こんな感じで、言葉と一つの意味だけが鎖のように強くきつく結びついていました。

でも、「なんで〜したん?」「なんで〜せんかったん?」と恐怖と怒りをつなぐ鎖に気付いてからは、すごく楽になりました。

激しい反応が出たとき、「ああ、いまわたしのなかの母さんが暴れてるんだな」と思えるようになったからです。

7.言葉の意味が増えるとき

そう思えてから、わたしの中で「なんで〜したん?」「なんで〜せんかったん?」が持つ意味が増えましたし、相手に意味を聞いてみるということもできるようになりました。

そしてなによりも、この言葉を言われたときの自分を否定する感情が湧きにくくなりましたし、湧いても飲み込まれにくくなったことはとても大きな変化でした。

鎖を綿に変えて、言葉に今までつながっていなかった意味をたくさんつなげることができたんだと思います。

8.激しい反応が教えてくれるもの

激しい反応が出るのは、言葉だけではありません。

態度やしぐさなんかも当てはまります。

自分が普段と違う反応が出るタイミングは、自分を苦しめる正体を見つけるヒントになるんだろうなと思います。

そのヒントから正体を見つけると、正体は自分を生きやすくして幸せに近づけるものに変身することがよくあります。

9.わたしがもらった「応援」という支援

わたしは自立訓練で、この正体を見つけることにスタッフさんと二人三脚で取り組みました。

自分一人ではできなかったと思いますし、スタッフさんに全部やってもらうこともできなかったと思います。

わたしは自立訓練を経て再就職できました。

でも再就職というのは結果であって、わたしがしてもらった支援はこの正体を見つけ、正体と向き合うことへの応援だったんじゃないかな、と思っています。