1.仕事できないと思って自信喪失 「私、やっぱり仕事できないんじゃないか」。 そんな言葉が、ある時期の私の頭の中でエンドレス再生されていた。朝起きても、電車の中でも、仕事中でも、家に帰っても。まるでBGMのように流れてくるそのフレーズは、じわじわと私の自信を削っていった。 2.“できない”が全部に見える時
仕事でミスをしたとき、たとえそれが小さなことでも、「ほら、やっぱりダメだ」と思ってしまう。逆に、ちゃんとできたことがあっても、「あれはたまたま」とか「ラッキーだっただけ」と受け取ってしまう。 そうやって自分を減点方式でしか評価できなくなると、視界はどんどん暗くなっていく。 私の場合、その時期は特にひどかった。ミスをした翌日は、机に座るだけで心臓がバクバク。「今日も失敗するんじゃないか」と思うと、手の動きまでぎこちなくなる。そして、その緊張がまたミスを呼び込む。もう、完全に負のループだ。 3.「できない」より先にあったこと 振り返れば、「仕事できない」と思い込んでいた原因は、スキル不足だけじゃなかった。新しい環境に慣れていなかったり、人間関係で気を使いすぎたり、体調が不安定だったり。そういう“仕事以外の要因”が積み重なって、自信を削っていた。 スタッフさんにこのことを話したとき、「自信って、結果よりも“自分で自分をどう扱うか”で変わるよ」と言われた。 当時はピンと来なかったけど、今思えばあれはかなり大事なヒントだった。 4.小さな「できた」を拾う 私は、そのスタッフさんのアドバイスで「できたこと探しノート」を始めた。1日3つ、小さなことでいいから書く。 「報告をちゃんとできた」「データの入力をミスなく終えた」「昼休みに同僚と話せた」。どれも、普通に見れば当たり前のこと。 でも、当時の私にとっては“減点対象じゃない自分”を見つける練習だった。 最初のうちは、ノートを開くたびに「こんなこと書いて意味ある?」と思った。でも、続けていると少しずつ、「できた」もちゃんと自分の一部だと感じられるようになった。 5.周りと比べるクセを外す 自信をなくす最大の原因のひとつが、「他人と比較」だった。同期がサクサク仕事をこなしているように見えると、自分がますます遅く感じる。上司が褒めた相手を見ると、「私は一度も褒められてない」と落ち込む。 でも、スタッフさんに「その人の背景は全部見えてないんだよ」と言われたとき、ハッとした。確かに、私が知らないところでその人も苦戦しているかもしれないし、得意分野が違うだけかもしれない。“見えている一部”だけで自分を判断していたことに気づいた。 6.自信は、勝手には戻らない 一度失った自信は、自然に元通りになるわけじゃない。それを知ったときは、ちょっとショックだった。 でも同時に、「じゃあ、育て直せばいいんだ」と思えるようにもなった。 小さな成功体験を意識して積み上げる。人と比べる時間を、自分の成長を振り返る時間に変える。そして、できなかった日は「じゃあ次はどうする?」とだけ考えて、責めすぎない。そんなふうに、自信を“育て直す”日々が始まった。 7.今でも自信は揺れる 正直に言うと、今でも「仕事できないな」と思う瞬間はある。だけど、以前と違うのは、その気持ちに飲み込まれなくなったことだ。「できないことがある=全部できない」ではないと、ちゃんとわかっている。 それだけで、ずいぶん心は軽くなる。 8.おわりに 仕事でつまずくと、自信はあっという間に崩れる。 でも、それは“なくなった”んじゃなくて、“隠れてしまった”だけかもしれない。私は今、その隠れた自信を、また少しずつ掘り起こしている最中だ。もしかしたら、また落ち込む日も来るだろう。 それでも、自分を減点だけで見ないこと。 それが、仕事にも、自分にも、少しずつ優しくなれる第一歩だと思っている。