ひきこもり・職場復帰のための就労支援&自立訓練|ミライワーク広島・川崎

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お知らせ

【シリーズ体験記:㉓】人の目が気になる私の話

2025.10.21

小さいころから「人の目を気にしすぎだよ」と言われてきた。

でも、こればっかりはスイッチのON/OFFみたいに簡単にはいかない。

信号待ちで鼻をかもうとしただけで「変に思われないかな?」と考えてしまう。

誰もそこまで見てないはず…と思いつつ、やっぱり気になってしまう。

1.無意識の“監視カメラ”

人の目が気になるって、例えるなら自分の頭の中に監視カメラがついてる感じだ。

何か行動するたびに、そのカメラが「今の変じゃなかった?」と再生確認してくる。

例えばエレベーターの中。

目的階に着くまでの数十秒、何をしていいかわからず、スマホを見たり天井を眺めたり。

降りたあと、「変な間があったかな…」なんて振り返る。

冷静に考えると、他の人もきっと同じように自分のことを気にしてるから、私のことなんて覚えてないはず。

でもその場では、どうしても自分だけが“見られている”感覚になる。

2.SNSでさらに増幅

この感覚は、SNSのせいで強化された気がする。

誰かが「今日見かけた変な人」の話を投稿してバズっていたりすると、「もし私もああやって誰かにネタにされてたら…」と考えてしまう。

たとえ現実には何も起きていなくても、心の中に不安の芽が植えられてしまう。

3.スタッフさんに言われた一言

この話を自立訓練のスタッフさんにしたら、

「人は他人を想像以上に覚えてないよ。だって自分のこと考えるので忙しいから」

とあっさり言われた。

それを聞いたとき、「いやいや、そんな簡単に割り切れないんですけど」と思ったけど、確かに自分も道ですれ違った人の服装や仕草なんて覚えてない。

もしかして、人の目を気にしすぎるって、自分を“主人公”だと思いすぎてる部分もあるのかもしれない。

4.試してみた“逆の発想”

ある日、ふと思いついて、わざと少し変な行動をしてみた。

コンビニでお釣りを受け取るとき、両手で丁寧にお辞儀してみるとか、エレベーターで一番奥に行って直立不動で立ってみるとか。

結果、誰も特に反応しない。

たまに一瞬こちらを見る人がいるくらいで、あとは何事もなく時間が過ぎる。

「ほら、やっぱりそんなに見られてない」という証拠集めみたいな実験だったけど、これが意外と効いた。

5.“気になる”はゼロにはならないけど

もちろん、今でも人の目は気になる。

ただ、昔みたいにそれが24時間頭を占領することはなくなった。

「ちょっと見られたかも?」と思っても、「まあ覚えてないでしょ」で流せることが増えた。

自分の中の“監視カメラ”を、たまにはOFFにしても大丈夫だとわかったのは大きい。

それに、もし誰かが私を見て何か思ったとしても、それはその人の自由であって、私の責任じゃない。

6.おわりに

人の目が気になる気持ちは、悪いことじゃないと思う。

それは周りに配慮できる優しさでもあるし、人との関係を大事にしている証拠でもある。

でも、その優しさが自分を締め付けるほど強くなると、ちょっと息苦しい。

だから私は、時々こう言い聞かせる。

「あなたのことをじっと見ている人は、鏡の中の自分だけ」

それだけで、ほんの少し、肩の力が抜けるのだ。