2025.10.28
私は昔から、「あの人に比べたら私なんて…」とすぐ思ってしまう。
勉強ができる人、仕事が早い人、会話がうまい人。
そういう人を見ると、尊敬する前に、まず「負けたな」と感じる。別に勝負してるわけじゃないのに。
気づくと頭の中で、自分と相手のステータスを比べている。
「性格:あっちのほうが社交的」
「年収:たぶん私より高い」
「見た目:完全に負け」
そして総合得点が低いのは、たいてい自分。
この“比較ゲーム”は誰にも頼まれてないのに毎日開催されて、毎回同じ結果になる。
そりゃあ自己肯定感も下がるわけだ。
この話を自立訓練のスタッフさんにしたら、「そのゲーム、ルールが不公平すぎない?」と笑われた。
よくよく考えると、確かにそうだ。相手の良い部分と、自分の苦手な部分だけを比べている。
それは最初から負けるように設定されたゲームだ。
スタッフさんは続けてこう言った。
「自分の得意な部分と相手の苦手な部分を比べたら、きっとあなたのほうが勝ってるところもあるよ」
なるほど…とは思ったけど、正直すぐには受け入れられなかった。
なぜなら、私の頭の中では“私より上”の人しか映らない仕組みになっているからだ。
でも、その日から少しずつ試してみた。
まずは、自分の中で「得意」のハードルを下げること。
たとえば、友達の誕生日をちゃんと覚えている。
スーパーで安売りを見つけるのが得意。
新しいお店を探すのが好き。
そんな小さなことでも、“自分ができること”としてメモしていく。
すると、「あれ?私、意外とあるじゃん」という感覚がちょっとずつ増えてきた。
もう一つ効果的だったのは、“比較”をやめて“観察”にすること。
「あの人はすごい」から、「あの人はこういうところが得意なんだ」に変える。
すると、不思議と劣等感よりも好奇心が勝つようになる。
「へぇ、このやり方いいな。真似してみようかな」と思える瞬間が増えた。
今もたまに、自分の価値は人より低いな…と落ち込むことはある。
でも、それはあくまで“気分”であって、客観的な真実じゃない。
価値って、誰かが点数をつけてくれるものじゃなくて、
自分の中でじんわりと感じるものだと思う。