ひきこもり・職場復帰のための就労支援&自立訓練|ミライワーク広島・川崎

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お知らせ

【体験記29】イライラした時の対処法

2025.12.2

1.イライラの奥にあったもの

日常の中で、ふとした瞬間にイライラしてしまうことってありますよね。

わたしも何度も経験してきました。

特に職場や人間関係の中で、

「なんでこんな当たり前のことがわからないんだ!」

「なんでやらないといけないことをやらないんだ!」

と心の中で叫んでいたことがたくさんありました。

例えば、上司から依頼された仕事を誰かが期限通りにやっていないとき。

あるいは、明らかに準備しておくべきことをしていない人に出会ったとき。

わたしは心の中でイライラが爆発して、「信じられない」と思ってしまう。そんなことがよくありました。

でも、よくよく考えてみると、その「当たり前」って誰が決めたものなんでしょうか。

当時のわたしはそこに気づくことができず、「相手がおかしい」「相手が悪い」と決めつけていました。

そしてイライラを抱え込むことで、自分の心をさらに疲れさせていたんです。

 

2.イライラの正体は「存在の否定」だった

わたしがイライラする理由は、実は相手の行動そのものではありませんでした。

本当の理由は「自分の存在が否定されたように感じるから」だったのです。

相手がわたしの“当たり前”と違うことをする。

それは、わたしの価値観を否定すること。

さらにいえば、その価値観を作ってきたわたしの人生そのものを否定すること。

無意識のうちに、そう信じていました。

だから「なんでやらないんだ!」と腹を立てながらも、本当は「わたしの大切なものを否定されたくない」「わたしを理解してほしい」という恐怖や悲しみに飲み込まれていたのです。

そして、その恐怖や悲しみを直視するのはとてもつらいものでした。

心の奥にある痛みに触れたくない。だから、相手を悪者に仕立て上げて、感情を「怒り」に変換していたんです。

イライラは相手に向いているようで、実は自分の弱さや不安を覆い隠すためのものだったのだと、あとから気づきました。

当時のわたしは、イライラを「正義」だとすら思っていたかもしれません。

「当たり前のことをしない相手が悪い」と怒ることで、自分の正しさを守ろうとしていたのです。

でも実際は、自分の心を守るために怒りを利用していただけでした。

3.内面に目を向ける工夫

このことに気づいてからは、イライラしたときに意識的に自分の内面に目を向けるようになりました。

まずは深呼吸をして、一拍おきます。

呼吸を整えるだけで、不思議と感情の勢いが少し弱まります。

そのうえで「わたしは今、なぜイライラしているんだろう?」と自分に問いかけるんです。

すると、「わたしが大切にしている価値観を否定された」と思い込んでいる自分の声が聞こえてきます。

そんなときは「大丈夫だよ。わたしは何も変わらないよ」と心の中で自分に声をかけます。

最初は形だけでした。でも、繰り返すうちに、少しずつ効果を実感できるようになりました。

さっきまで「信じられない!」と腹を立てていた対象が、だんだんどうでもよくなっていくんです。

気がつくと、胸の奥にあった硬さが和らいで、心がほぐれていく。そんな感覚を得られるようになりました。

 

4.気づきと学び

この体験を通じてわかったのは、イライラは相手が原因ではなく、自分の中の「当たり前」とのズレが原因だということです。

ズレていることを目の当たりにする度、

「ズレていることはわたしが間違っていて、わたしが生きていてはいけない証拠だ」

という、幼いころから無意識下に植え付けられた“わたしを責めるもの”が、わたしを襲ってきていたのです。

その“わたしを責めるもの”が自分の中にあるということは、自分が苦しくなる原因が他人にあるんじゃなくて、自分の中にあるということです。

もし原因が他人にあるのなら、わたしがコントロールできるものではないので、苦しみはずっと続きます。

でも、わたしの中にあるということは、わたしが解消できる可能性が十分にあるということだと気づいたんです。

そう考えられるようになってから、イライラは単なる「嫌な感情」ではなく、「自分を知るチャンス」だと思えるようになりました。

イライラは心のSOSであり、「まだここに苦しみがあるよ」と教えてくれるサインなんです。

5.まとめ

イライラは、わたしにとって「心が苦しいよ」というサインでした。

以前のわたしは、その苦しみを見ないようにするために怒りで覆い隠していました。

けれど今は、

「ああ、またわたしを責めるものが顔を出したな」

と気づいて、自分に優しく声をかけられるようになりました。

「大丈夫だよ。わたしは何も変わらないよ。」

そう自分に言えるだけで、イライラの強さはぐっと弱まり、心が落ち着きを取り戻します。

イライラをなくす必要はありません。

イライラは自分を傷つける敵ではなく、自分を守ろうとする心の反応です。

その奥にある恐怖や悲しみを自分で認めてあげることができれば、感情は自然と和らいでいきます。

わたしにとってイライラは、今では「自分を大切にするためのきっかけ」になっています。