ひきこもり・職場復帰のための就労支援&自立訓練|ミライワーク広島・川崎

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お知らせ

【体験記36】お願いするのが苦手な人へ:無理せず頼れるようになる考え方とコツ

2026.1.20

1.はじめに:「お願いするのが苦手です」

これ、わりと多くの人が抱えている悩みだと思います。私もそうでした。
お願いって、頭では「言ったほうがいい」と分かっているのに、口に出そうとすると急に難しくなるんですよね。

「迷惑かな」
「嫌な顔されたらどうしよう」
「断られたら、もう終わりかも」
・・・いや、終わらないのに。
脳内だけ終末映画みたいになる。

でも、結論を最初に言ってしまうと、お願いは「甘え」じゃありません。
お願いは、生活の技術です。
自分を守りながら暮らすための、わりと実用的な道具です。

そして、お願いがうまい人って、別に“図々しい人”ではありません。
「小さく、具体的に、相手が選べる形で」出しているだけ。
今日は、私なりのその作り方(まだまだ練習中ですが)を書いていきます。

 

2.お願いが難しくなる理由

お願いが苦手な人は、意志が弱いわけでも、コミュ力が低いわけでもないことが多いです。
自分で言うのもなんですが、むしろ、真面目で、気を遣える人ほど苦手になりやすい。
理由はいくつかあります。

まず、固定観念のブレーキです。
「自分でやるべき」
「頼る=弱い」
「迷惑をかけたらいけない」
こういうルールが強いと、お願いする前に自分の中で却下されます。

次に、断られる恐怖。
お願いって、断られると結構へこみます。
しかもへこみ方が、内容以上に大きい。
本当は「今は忙しいから無理」かもしれないのに、頭の中では「あなたが嫌なんだ」に変換してしまう。
勝手に変換するな、って感じなんですが、してしまう。

それから、過去の経験もあります。
昔、勇気を出して頼んだのに、冷たい反応をされた。
言い方がうまくなくて誤解された。
「お願いは自分勝手で迷惑なことだからするな」と躾けられた。
そういう経験があると、「また同じことになるかも」「したらいけない」と体が覚えてしまう。

ここで大事なのは、お願いが苦手なのは「下手だから」じゃなくて、たぶん「怖さが強いから」です。
だから、正面から気合で突破しようとすると続きません。
怖さがある前提で、扱いやすい形にしていけばいい。これが現実的です。

3.お願いは“相手のため”にもなる

お願いを苦手にしている人ほど、「相手に迷惑をかけたくない」という気持ちが強いです。
その優しさ自体は、すごく良いところだと思います。

ただ、ひとつ視点を変えると、お願いは相手のためにもなることがあります。
たとえば、周りからすると「言ってくれた方が助かる」場面って、意外とあります。

こちらが困っていることが伝わらないと、相手は配慮のしようがない。
知らないまま進むと、後で大きなトラブルになって「なんで早く言わなかったの?」となることもあります。

それに、お願いは相手をコントロールする行為ではありません。
「あなたがやって当然」ではなく、「協力してもらえたら助かる」。
相談と依頼の間には、ちゃんと幅があるんです。

そして、断られても関係が終わるわけではない。
断りって、多くの場合「今は難しい」です。
「あなたが嫌」ではない。
ここを切り分けられるようになると、お願いが少し楽になります。

お願いって、相手との距離を縮めることもあります。
「信頼してるから言う」っていう面もあるからです。
もちろん相手と状況は選びます。
でも、“言える関係”を育てる意味でも、お願いは役に立ちます。

4.お願いの作り方:小さく、具体的に、選べる形で

ここからが本題です。
お願いは、センスじゃなくて形です。テンプレがあります。

① まず「状況」を短く言う
長い説明は不要です。
むしろ長いと、相手は何を求められているのか分からなくなります。

例:
「今、少し余裕がなくて」
「体調が不安定で」
「確認に時間がかかっていて」

この一言だけで十分な場合も多いです。
ポイントは、“言い訳大会”にしないこと。
状況は短く、必要最低限。

② 「してほしいこと」を一つに絞る
ここが一番大事です。
お願いが苦手な人ほど、あれもこれも抱えてしまって、頼む内容が巨大化します。

例:
「5分だけ相談に乗ってほしい」
「この部分だけ一緒に確認してほしい」
「今日の予定を一回整理したい」

“お願いは一つ”にする。
相手も受け取りやすいです。

③ 期限・量・条件を添える
相手が動きやすくなるのは、具体性があるお願いです。

例:
「10分だけ」
「今日の15時までに」
「この1点だけ」
「今週中に一回」

具体性は、相手への配慮でもあります。
曖昧だと、相手は「どれだけやればいいの?」となって負担が増えます。

④ 相手が選べる形にする
断りやすさは、頼みやすさです。
相手が逃げ道を持てると、お願いは通りやすくなります。

例:
「今難しければ、別の時間でも大丈夫です」
「AかBなら、どっちがやりやすいですか?」
「無理なら断ってください」

これを言うと「弱気かな」と思うかもしれませんが、逆です。
相手にとっては圧が減り、むしろ引き受けやすくなります。

⑤ お礼は軽く、確実に
土下座はいりません。
お礼は短く、でもちゃんと言う。

例:
「助かります」
「ありがとう、ほんと助かった」
「おかげで進みました」

お願い→協力→感謝、の流れができると、次のお願いが怖くなくなります。

5.よくある失敗とリカバリー

お願いが苦手な人がやりがちな“つまずき”も書いておきます。

失敗1:長文になって結局なにが言いたいか分からない
丁寧に説明しようとして、迷子になる。
リカバリーは、「状況1行+お願い1行」に戻すだけ。

「今、余裕がなくて。10分だけ相談できますか?」
これで十分です。

失敗2:申し訳なさが強すぎて土下座文になる
謝りすぎると、相手は逆に受け取りづらくなります。
謝罪より、お願いの具体性を増やす。
「迷惑かも」より「10分だけ」。

失敗3:相手の反応が薄くて落ち込む
反応は、相手の気分や忙しさの影響が大きいです。
薄い反応=あなたの価値、ではありません。

失敗4:断られた
断られたら、まず「了解です」でOK。
理由を掘らなくていい。
別案を考えるだけで十分です。

6.お願いがしやすくなる“小さな練習”

最後に、お願いが苦手な人向けの練習方法です。
いきなり重いお願いをしない。
練習は軽いものでいい。

例:
「今、話しかけても大丈夫ですか?」
「ちょっと聞いてもいいですか?」
「この一行だけ見てもらえますか?」

こういう軽いお願いを出して、通った経験を積む。
この積み重ねで、お願いの怖さは薄れます。

お願いって、「言ってみて、意外と大丈夫だった」を増やすゲームみたいなところがあります。
最初の一回が一番怖い。
二回目から少しマシ。
三回目で「まあ、いけるかも」になってきます。

7.おわりに

お願いは、相手を動かす技ではなく、自分を守りながら暮らす技術です。
我慢の限界が来てからの大きなお願いより、早めの“軽いお願い”のほうがずっと強い。

もし今、「本当はお願いしたいこと」が一つあるなら、まずは小さく作ってみてください。

・状況を短く
・お願いは一つ
・量と期限を具体的に
・相手が選べる形にする

上手に言うより、短く言う。
丁寧より、具体的。
まず一回でOKです。

お願いはわがままでも悪いことでもありません。
“みんなが楽になる”こと。
わたしはお願いしたくなったら、最初にそれを思い出すようにしています。