2026.1.27
私は現在42歳ですが、双極性障害Ⅱ型と診断されたのは27歳のときです。
診断されたとき、先生から「この障害がどういうものか」という説明がありました。
その中で、いまでも印象に残っているのが、
「きっかけなしに、定期的にうつ状態になることがある」
という話でした。

それから15年。
私は、いわゆる“きっかけなし”のうつ状態になったことはありませんでした。
うつ状態になったときは、必ず何かしらの背景がありました。
そしてその多くは、基本的に「仕事をやり過ぎる」というものでした。
好きだからやり過ぎるのではなく、
「やらなければ!」という恐怖を原動力にして、やり過ぎる。
その結果、心身のエネルギーが枯渇して動けなくなり、
自分を責めたり、悲惨な未来ばかりを想像するネガティブ思考の塊になる。
だいたい、そんな流れでうつ状態になっていました。
一般的に言う“燃え尽き症候群”の、もうちょっと重たい版。
たぶん、そんな感じです。
ところが1か月ほど前、きっかけなしのうつ状態になりました。
自分を激しく責めるような感じはなく、
とにかくエネルギーが湧いてこない。
仕事に対するやる気も湧かない。
趣味も楽しめない。そもそも「やりたい」と思えない。
あとは、イライラしたり、投げやりになったり。
寝るのもかなり早くなりました。
普段は21時過ぎに布団に入って、23時ごろに寝るのが、
20時には布団に入っていて、22時にはもう寝ている。
そんな感じです。
「やり過ぎ」にならないように、随分前から仕事の量も質もセーブしていました。
休みの日は趣味を楽しんだり、しっかり休んだりもしていた。
疲弊している感覚は、あまりなかったんです。
それなのに、ある日から坂道を転げ落ちるみたいに、
急にエネルギーが湧かなくなった。
心療内科の次の通院日は3週間後。
ひどくなるようなら早めに行こう。そう思っていました。
・・・が、今度はなんとなく元気になっていったんです。
特別、気分が上がる出来事があったわけでもない。
薬を増やしたわけでもない。
ただ淡々と日々を過ごしていただけなんです。
私が意識していたのは、こんなことでした。
・三食ちゃんと食べる
・しっかり寝る
・少しでもいいから日光を浴びる
・仕事を休まない(ただし、できるだけ仕事量は減らす)
・信頼している人には自分の状態を話す
・しんどい自分を隠さない
・人が少ないお気に入りの場所に一人で行って、のんびりする
こういうことだけを意識して、淡々と日々を過ごす。
そうしていると、2週間くらい経ったころから、
だんだん元気になっていきました。
休みの日に趣味を楽しめたり、
仕事もそれなりにやりがいを持って取り組めたり。

今回のうつ状態は、これまでに比べるとかなり軽いものでした。
休職や入院を勧められることもなく、
布団から出られないということもなかった。
内容はどうであれ、毎日仕事に行けましたから。
だからこそ、うつ状態の中でも自分のことをいろいろ考えられました。
「私が働く理由ってなんだったっけ?」
「私はどんなことが好きなんだったっけ?」
「私にとって、生きる意味ってなんだったっけ?」
私はうつ状態になると、良くも悪くも感情を生々しく感じ取るようになります。
そうすると、普段は距離を取りがちなネガティブな気持ちや、
「本当はやりたいこと」みたいなものも、
否応なしに見つめることになる。
その結果、私は改めて
「自分はこう生きたいんだ」
という感覚を思い出せました。
ここまで読むと、うつ状態にも良い側面があるみたいに見えるかもしれません。
でも、決してそういう意味ではありません。
今回のうつ状態が軽かったこと。
そして、対処のための準備を以前からしていて、
それがたまたまうまく噛み合ったこと。
たぶん、そのおかげで、
少し俯瞰した思考ができたんだと思います。
ただ、「事前の備え」で悪化させずに
乗り切れることもあるのかもしれない。
今回は、そんな感触がありました。
私の事前準備は、先にも書いた通り、
・極力エネルギーを使わない
・日々を淡々と過ごす
・「ここちよい」と感じる場所へ一人で行く
この3つです。
ネットや本にも、わりとよく書いてありますよね

問題は、ここからです。
結局いちばん厄介なのは、
「ちゃんとできていない自分を責める気持ちが邪魔をする」
ということだと思います。
今回はその気持ちは小さかったですが、
それでもやっぱりありました。
仕事をセーブしたり、
楽しいはずのことを楽しめない自分に対して、
嫌な気持ちが出てくる。
じゃあ、その気持ちとどう付き合うか。
つまり、何もできない自分を
どうやって許すか、という話です。
うつ状態になってから自分を許そうとするのは、
正直ちょっと遅い気がします。
元気なときから自分を許しておく。
というか、どんな状態の自分でも
「許されてる」ことを、当たり前にしておく。
元気なときでも、失敗したり、
人に迷惑をかけたり、サボったりします。
元気なときは、それがちょっとした罪悪感や自己嫌悪で済んだり、
「まあいっか」と流せたりもする。
でも、うつ状態になると、それができなくなる。
そして、その“できなさ”が追い打ちになる。
元気な状態とうつ状態は、地続きだと思うんです。
ある日ガクッと切り替わるように感じても、
心の在り方というか、
「自分自身に対する定義」は急には変わりません。
だから、その定義を理解して、
より自分がここちよく、ありのままでいられるものに、
少しずつ変えていく。
そういう積み重ねが、
うつ状態になりにくくしたり、
なっても一線を越えずに済ませたりすることに
つながるんじゃないか――
今は、そんなふうに感じています。