ひきこもり・職場復帰のための就労支援&自立訓練|ミライワーク広島・川崎

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お知らせ

【体験記74】うつを経験して「以前の自分に戻る」ことを目標にしなくなった理由

2026.10.13

わたしは一度、かなり大きく壊れたことがあります。

 

仕事を辞めて、そのあと長く家にこもり、自立訓練などを利用しながら、生活そのものを0から作り直しました。

 

あのときについては、今では「病気になってよかった」と思っています。

 

もちろん、苦しかったです。

 

もう一度やりたいかと聞かれたら、絶対に嫌です。

 

でも、あそこで一度全部が壊れなかったら、わたしはそれまでと同じ生き方を続けていたと思います。

 

疲れていても頑張る。

 

人に頼らない。

 

できるなら、もっとやる。

 

自分の限界よりも、「これくらいはやるべき」を優先する。

 

そういう生き方を一度やめて、生活も働き方も人との付き合い方も、かなり作り直しました。

 

だから、再び働き始めたころのわたしには、

 

「今度は大丈夫」

 

という気持ちが、どこかにあったんだと思います。

 

ところが、その後の人生でも、双極性障害のうつ状態になり、わたしはまた仕事を辞めました。

 

そのときは、最初のときとは少し違うしんどさがありました。

 

「またか」

 

という感じです。

 

 

1.一度作り直したのに、また崩れた

 

最初に仕事を辞めたときは、自分の生き方そのものが分からなくなっていました。

 

でも、その後、何年もかけて自分のことを知ったつもりでした。

 

頑張りすぎる癖も分かった。

 

体調を見ることも覚えた。

 

相談することも、以前よりはできるようになった。

 

病気との付き合い方だって、何も知らなかったころとは違う。

 

それなのに、またうつ状態になって、仕事を辞めることになった。

 

正直、

 

「じゃあ、あれだけ時間をかけて作り直したのは何だったんだろう」

 

という気持ちが少しありました。

一回目とは違って、何も知らなかったわけではありません。

 

むしろ知っていた。

 

それでも崩れた。

 

これは、なかなか悔しかったです。

 

そして、もう一度働けるようになろうとしたとき、わたしは自然と、

 

「うつ状態になる前の自分に戻ろう」

 

としていました。

 

 

2.今度の「以前の自分」は、悪い自分ではなかった

 

ここが一回目との大きな違いでした。

 

最初に病気になったころの自分については、あとから振り返ると、

 

「この生き方は、かなり無理があったな」

 

と思えます。

 

だから、そこに戻りたいとは今は思いません。

 

一度壊れて、0から作り直したことには意味があった。

 

むしろ、あの経験があったから今のわたしがいると思っています。

 

でも、二回目に仕事を辞める前のわたしは、そんなに悪い生き方をしていたわけではありませんでした。

 

以前より自分を大切にしていた。

 

病気のことも理解していた。

 

仕事だって、昔のように何も考えず全力でやっていたわけではない。

 

それでも、うつ状態になった。

 

だから、

 

「今度こそ、あのころの自分に戻ればいい」

 

と思いやすかったんです。

 

病気になる前の昔の自分ではなく、一度人生を作り直したあとの、比較的うまくやれていた自分です。

 

あの状態まで戻れば、また大丈夫になる。

 

最初はそう考えていました。

 

 

3.でも、「戻る」を目標にすると、なかなか戻れない

 

再び動き始めてみると、以前と同じようにはいかないことがありました。

 

体力が違う。

 

疲れ方も違う。

 

仕事に対する感じ方も、少し変わっている。

 

以前なら平気だったことが重かったり、逆に昔より気にならなくなったこともあったりする。

 

それなのに、

 

「前はできていた」

 

を基準にすると、どうしても今の自分が足りなく見えます。

 

以前なら、このくらい働けた。

 

以前なら、これくらい疲れなかった。

 

以前なら、もう少しできた。

 

一つできるようになっても、

 

「でも前はもっとできた」

 

が横から出てくる。

 

また昔の自分です。

 

わたしの人生には、どうも過去のわたしがよく登場します。

 

しかも、だいたい現在のわたしより元気です。

 

ちょっとずるい。

 

4.「あのころに戻る」必要はあるんだろうか

 

あるとき、

 

「そもそも、戻らなくていいんじゃないか」

 

と思いました。

 

一回目の大きな挫折では、0から生活を作り直しました。

 

だったら今回も、規模は違っても、今の自分に合わせて少し作り直せばいい。

 

以前の生活が間違っていたからではありません。

 

以前の働き方が悪かったという話でもない。

 

ただ、今のわたしとは条件が違う。

 

そのくらいのことです。

 

人は同じ状態のままずっと生きているわけではありません。

 

年齢も変わる。

 

体力も変わる。

 

考え方も変わる。

 

病気の状態だって変わります。

 

なのに、「以前うまくいっていた形」をずっと正解にすると、そこから変わるたびに、

 

「元に戻さなきゃ」

 

となります。

 

それは、けっこう大変です。

 

5.一度作り直した人生も、完成品ではなかった

 

最初に病気になったあと、わたしは人生を0から作り直した感覚があります。

 

そして、それはかなり大きな経験でした。

 

自分の生き方も変わったし、考え方も変わった。

 

「病気になってよかった」と思えるくらいです。

 

だから、どこかで、

 

「これで自分なりの生き方が分かった」

 

と思っていたのかもしれません。

 

でも、二回目に仕事を辞めたことで、

 

「ああ、一回作ったら完成、ではないんだな」

 

と思いました。

 

ちょっとがっかりです。

 

せっかくあれだけ苦労して作ったのに。

 

できれば完成していてほしかった。

 

でも人生って、たぶんそういうものではないんでしょうね。

 

一度自分に合う形を見つけても、何年かたてば自分のほうが変わる。

 

そうしたら、また少し直す。

 

そしてまた変わる。

 

その繰り返しなのかもしれません。

 

 

6.今の自分に合う形を考える

 

今のわたしは、

 

「以前と同じくらいできるようになる」

 

ことをあまり目標にしていません。

 

もちろん、できることが増えればうれしいです。

 

体力がつけばうれしいし、仕事でできることが増えるのも楽しい。

 

ただ、

 

「前はここまでできたから、ここまで戻らなければ」

 

とは考えないようにしています。

 

今のわたしなら、どのくらい働くのがちょうどいいか。

 

仕事をしたあと、生活する力がどのくらい残っていれば楽なのか。

 

どんな働き方なら、来月も半年後も続けられそうか。

 

そっちを見る。

 

以前の自分は参考にはなります。

 

でも、答えではありません。

 

 

7.それでも「前はできたのにな」と思う

 

とはいえ、こんなふうに書いていても、

 

「昔はもっとできたのにな」

 

と思うことは普通にあります。

 

そこまで悟ってはいません。

 

体力が落ちたと感じると、悔しい。

 

前なら簡単だったことに疲れると、

 

「面倒になったなあ」

 

と思います。

 

そういうとき、

 

「過去と比べてはいけない」

 

とまで自分に言うつもりはありません。

 

比べます。

 

人間なので。

 

ただ、比べたあとに、

 

「じゃあ今はどうする?」

 

へ戻ってくる。

 

以前の自分に勝つ必要もない。

 

追いつかなくてもいい。

 

今の自分が生活しやすいところを探す。

 

最近は、それで十分だと思うようになりました。

 

 

8.「戻れなかった」ではなく、また作り直している途中

 

最初に病気になったとき、わたしは一度完全に壊れて、0から作り直しました。

 

あの経験については、今でも病気になってよかったと思っています。

 

でも、その経験をしたからといって、その後ずっとうまくいくわけではありませんでした。

 

またうつ状態になった。

 

また仕事を辞めた。

 

そこは、あまりきれいな話ではありません。

 

「一度病気を乗り越えて、新しい人生を手に入れました」

 

で終わってくれたら分かりやすかったんですが。

 

残念ながら、その後も人生は続きます。

 

でも二度目に仕事を辞めたことで、一つ分かったことがあります。

 

人生は、元に戻すものではないのかもしれない。

 

そのときの自分に合わせて、何度でも形を変えていい。

 

一度うまくいった生き方も、合わなくなれば少し直す。

 

それは失敗ではない。

 

たぶん。

 

……まだ、ときどきそう思えない日もあります。

 

それでも今は、

 

「以前のわたしに戻ろう」

 

ではなく、

 

「今のわたしなら、どうしたら暮らしやすいだろう」

 

と考えるほうが好きです。

 

以前の自分は、もうそこにはいません。

 

でも、今のわたしには、一度0から作り直した経験があります。

 

なら、今回も必要なところだけ、また作り直せばいい。

 

前ほど大がかりじゃなくても。

 

少しずつ。

 

今はそんなふうに、自分の生活を見ています。