2025.5.14
※このコラムは、過去に自立訓練(生活訓練)を利用されたことがある方の体験記です。
わたしは半ひきこもりの状態から、社会復帰を目指して自立訓練を利用しました。今わたしは42歳なのですが、27歳の時に双極性障害Ⅱ型と診断され、32歳で倒れて失職し、それ以来半ひきこもりの生活に。どうやって生きていったらいいか分からなくなっていましたが、「とりあえず何かしないと」と思い、自立訓練を始めることにしました。
わたしの一番の問題、生きる障壁になっていたのは、障害そのものではありませんでした。人に対する恐怖、生きることへの恐怖、自分に対する罪悪感。それらが、生きることそのものを難しくしていたのです。
自立訓練では、生活リズムを整えたり、ビジネススキルやコミュニケーションスキル、ストレス対策を学びました。でも、わたしにとって一番意義があったのは「自己理解」でした。ここで言う自己理解とは、長所短所や職業適性、障害特性を知るという表面的なことではありません。わたしの生きづらさの正体は何か、それがどんなふうにわたしを苦しめるのか。そういった根本的なことに、スタッフさんと一緒に真剣に向き合いました。
スタッフさんはとても優しく、話を丁寧に聞いてくれて、「こういうのはどう思う?」「こんなふうに見えるけどどうかな?」といった問いかけを通して、わたしと向き合ってくれました。自分と向き合うことはとても苦しく、体調が悪くなることもありました。でも「ここなら安心してしんどくなれる」「いま自分と向き合わないと人生は始まらない」と思いながら、毎日自己理解を深めていきました。
自己理解は、頭で考えるだけではありません。体で感じ、仮説を立てて新しいことをやってみて、また振り返って探求する。そうやって繰り返すことで、わたしの生きづらさの正体が見えてきて、それと良い距離感を保てるようになりました。
自己理解というと「マイナスを0にする」と思われるかもしれません。でも実際は、マイナスがとんでもなくプラスに変わるんです。もっと言えば、自分の意思でいろんなプラスにできると、今では確信しています。
自立訓練は、復職や再就職のための支援かもしれません。でも、わたし自身や他の利用者さんを見ていると、それはあくまで「結果」であって、自己理解への応援こそが一番の支援だったのではないかなと思います。もし、あなたが自立訓練を利用しようか迷っているなら、そういった視点で場を選んでみるのもいいかもしれません。