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【シリーズ:体験記⑦】「ポジティブ思考」は危ない気がする

2025.7.1

「ポジティブ思考」って、よく聞きますよね。

でも、わたしは以前、その意味を少し勘違いしていました。

1ポジティブ思考=上書き、だと思っていた

どんなに辛い出来事も、「良い出来事」として捉えようとする。

そんなふうに思っていたんです。

たとえば、「どうしても入りたかった会社に落ちた」という出来事があったとします。

「一番行きたい会社に落ちて悲しい」と思うのがネガティブ思考で、

「落ちたからこそ、もっと良い会社に行けるチャンス!」というのがポジティブ思考──

そういう解釈が正しいと思っていました。

2感情を上書きすることの違和感

でも、悲しいものは悲しいんですよね。

どうしても行きたかったんですから。

それなのに、その「悲しい」という気持ちを「間違っている感情」として、

無理やりポジティブな感情で上書きするのは、どうにも不自然な感じがしていました。

わたしが「ポジティブ思考は危ない」と感じるのは、この“上書き”の部分です。

まるで、自分の心をゆがめているような感覚。

無理してポジティブに捉えようとすればするほど、そのゆがみは大きくなっていきました。

3感情がわからなくなっていった

そしていつの間にか、自然に湧いていたはずの感情を、自分で感じ取れなくなっていったんです。

わたしは、「良い出来事」として捉えることがポジティブ思考だと信じて、ずっと感情を上書きしてきました。

でもその結果、自分の心がまったくわからなくなって、ついには病気になって倒れてしまいました。

4本当のポジティブ思考とは? 2つの段階

いまのわたしが考える「ポジティブ思考」は、2段階あります。

① まずは「自分の感情をそのまま感じる」

「わたしは悲しかった」「悔しかった」「寂しかった」──

まずはその感情を否定せずに、ちゃんと感じること。

これはポジティブ思考に限らず、自分らしく生きるためにとても大切なことだと思っています。

② そして、「材料として活かせるときに活かす」

出来事はそのまま、いったん“引き出し”にしまっておきます。

無理に意味を探さなくていい。ポジティブな解釈は、あとからでいい。

「悲しい」と感じたなら、それは今の自分の心がそう感じているということ。

それだけで、ちゃんと意味があるんです。

5時間が経つと、見え方が変わってくる

人の心は、時間とともに形や色を変えていきます。

だから、昔は悲しいとしか思えなかった出来事も、

時が経つと「いい思い出だったな」と思えたり、「あの経験があったから今がある」と感じることもあります。

だからこそ、いまはただ、「悲しかった出来事」として大切にしまっておけばいいんです。

ちゃんと感情を味わってから。

未来の自分が、必要なときに取り出して、活かせるように。

6ポジティブより、自分の心とつながること

わたしが思うポジティブ思考とは、こんなふうなものです。

どんなに自律している人でも、悲しいことは悲しい。

だから、ちゃんと悲しんでいい。

無理して前を向こうとせず、無理に意味を見つけず、まずは自分の心を抱きしめてあげること。

ポジティブな解釈をしてもいいし、しなくてもいい。

大事なのは、「自分らしく、楽しく生きるために、自分の心とちゃんとつながっていること」だと思うんです。