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病気?甘え?増加中の「新型うつ」社員への対処法は?

近年、従来のうつ病とは異なるとされる「新型うつ」が若い世代に増えていると言われています。「新型うつ」は「非定型うつ病」とも言われ、業務中は意欲の減退、不安、対人恐怖などが現れ業務に支障をきたす一方、休日は元気になり趣味や旅行に行くほど活発になる、などの特徴が見られます。

ここでは「新型うつ」とはどのような症状か、また会社ではどのように対処していくべきなのかなどを説明していきます。

 

[目次]

■新型うつとは?

■いわゆる「新型うつ」の社員の特徴とは?

■「新型うつ」の社員に対応する上での5つのポイント

 

 

■新型うつとは?

これまでの典型的な「うつ病」というのは、真面目で責任感の強い人が、仕事上の悩みや、転職・昇進といった環境の変化をきっかけに、自責感や罪悪感にさいなまれて発症するというものでした。「会社に迷惑をかけて申し訳ない、辛い」と、自分を責めて苦しんでいるといったイメージです。

意欲の低下や集中力の低下がみられ仕事が思うようにいかず、不眠や食欲の減退など身体的不調が現れることもあります。

 

しかし、近年耳にするようになった「新型うつ」は、これまでのうつ病のイメージに当てはまらないうつ状態です。実は「新型うつ」という名称はマスコミが報道している通称名で、今のところ学術的に研究されておらず、精神医学的に厳密な定義があるわけでもありません。とはいえ、これまでのうつ病に当てはまらないタイプの気分障害を訴えて病院を訪れる患者が増加しているのは事実です。そこで、最近では従来型のうつと区別して「非定型うつ病」に位置付け、治療するクリニックも増えています。

 

以下、新型うつと言われる症状を紹介していきます。

 

1.新型うつの特徴は?

・体が鉛の様に重く感じる状態が続いていて何をするにもやる気が起きない

・意欲の減退、不安、対人恐怖などがある

・自分の好きなことをする時は症状が軽くなる

・20~30代の若年層に多い傾向

・人からどう思われているかが気になり、落ち込みやすい

・従来のうつ病のような不眠・食欲減退はなく、過眠(1日10時間以上など)や過食がみられる

 

2.うつの従業員に見られる状態

・出勤前・就業中は心身の調子がすぐれないが、帰宅後・休日には活動的になる

・自分は悪くなく周囲(上司や会社)が悪いと被害者的・攻撃的になりやすい

・症状は比較的軽度だが、休職を繰り返すなど長期化しやすい

・うつで休職することにあまり抵抗がない。休職中の手当などの制度を自分でよく調べていて、上手に利用する傾向もある

 

3.新型うつはわがまま?新型うつになりやすい性格は?

この様に解説をしていくと、「性格的なもので甘えではないか」「病気ではなく単なるわがままだ」と思われる方も多いと思います。ただ性格的にわがままな人であれば、幼少期から学生時代、入社前と一貫して「わがまま」なのです。

新型うつの場合、「真面目」「周りの期待に応えようと頑張る」「あまり自己主張しないいい子タイプ」であった人が、進学や就職などをきっかけにうつ状態になるというケースが大半のようです。

 

4.新型うつ(非定型うつ病)の治療方法は?

心理療法や薬物治療で体調がよくなり、仕事に行けるようになる人もいます。とはいえ、新型うつは医師の間でも見解が分かれていますから、全ての精神科・クリニックで診断・治療ができるとは限りません。また、薬物治療で改善することは難しく、カウンセリングや認知行動療法などを用いて心の自立力をつけていくことが有効だとされます。

 

個人ができる対処法として、生活リズムを規則正しくすることも有効と言われています。

新型うつ(非定型うつ病)は生活リズムを崩しやすく、夜遅くまで起きていて、昼前まで寝てしまうなど睡眠のサイクルが乱れがちです。

人の体は朝日を浴びるとメラトニンという睡眠物質の分泌が抑制されて睡眠がリセットされます。

昼まで寝てしまうなど生活リズムが崩れると脳の切り替えが上手くいかず、体のだるさを感じやすくなる上「今日も昼まで寝てしまった、自分は駄目人間だ」などと気も滅入ります。朝は7時に起き、夜は12時前には寝るなど、規則正しい生活を心がけましょう。

 

1.新型うつ(非定型うつ病)の社員に対応する上で気を付けること

従業員が新型うつの状態に陥った時、どのように対処すればよいのでしょうか。

まず大前提として、就業規則に基づいた人事労務管理の枠組みでの対応と、メンタルヘルス不調に対する配慮を分けて考えることとがポイントです。

 

遅刻や欠勤、業務遂行能力の低下などの問題行動については、あくまでも人事労務管理の枠組みで対応します。メンタルヘルスの問題だからと過度に気遣ったり、特例を認めることは本人のためにも職場のためにもなりません。

 

もしも遅刻や欠勤が繰り返されるようであれば、社内規定に則した期間の休職を勧めます。休職時には医師の診断書を提出させ、医師の見立てに応じた休職期間を設定します。

メンタルヘルス不調者の休職・復職にまつわるポイントはこちらを参考にしてみてください。

リンク→人事担当者によるメンタルヘルス不調者の復職対応のポイントとは?

 

2.新型うつ(非定型うつ病)の社員に対応する上でのポイント

 

(1)主治医の指示を尊重する

仕事を離れると元気になったり、休職中に自分の好きな趣味や旅行をしている姿を見ると、「わがままではないか」「非常識すぎる」と腹が立ち、責めたくなることもあるかもしれません。しかし、主治医の指示に反して出社させたり罰を与えたりすれば、他責的な傾向がみられる新型うつ社員は攻撃に転じやすいです。

無理に働かせ症状を悪化させるようなことはあってはなりません。主治医の判断を尊重し、まずは治療を優先させてください。

 

(2)説教をせず耳を傾ける

新型うつの人は、「嫌だと感じることからは逃げる」という考え方がベースになっています。ですから「なぜ君はできないんだ」と本人の足りない部分をくどくど問い詰めたり、「やる気がみられない」と本人を否定したりするような言い方は、叱咤激励のつもりでも逆効果になることが多いです。また、同期社員と比べたり、競争させたりするような言い方も避ける方がよいでしょう。

 

相手が何を苦しいと感じているのか、しっかり耳を傾けて理解し、信頼関係を築いていくことがまず重要です。業務に関して甘やかすことは一切せず、本人の努力の過程を認め、褒めましょう。頑張れ、君ならできると言った励ましよりは、「そうだね」「よくやっているよね」という肯定的な言葉かけが有効です。

 

(3)本人にとってのメリットを伝えて有効な方向に導く

若い世代に共通することですが、集団行動や人生での大きな葛藤の経験が乏しいと、他者への共感や集団への帰属意識が乏しくなりがちです。自分の会社やチームのために働く、顧客のために働くという意識よりも、自分の価値観や考え方、プライベートの充実を尊重するという意識の方が強いようです。

ですから、「今のままでは、皆に迷惑をかけるよ」「先輩にも上司にもお世話になっているのだから」といった言葉は響かないどころか、自分は悪くないなどの反発心を抱かせる可能性もあります。

 

「いま復職したら、冬のボーナスの査定にも影響がないよ」「1ヵ月の休職なら手当が支給されるから、休職してまた復職したらいいよ」というように、客観的にメリットを伝えて有効な方に導くのがスムーズでしょう。

 

(4)人材として育てるが、甘やかさない

新型うつの社員は、本人に自覚や悪気がなくとも結果的に周囲の社員を振り回してしまうことも少なくありません。感情に波があり、復職面談の時は「一生懸命頑張ります、貢献します」と口にしていても、再び調子が悪くなると「うちの会社に問題がある、こんな仕事意味がない」などと、業績の悪さを周りに転嫁するような発言をするようになったりします。

うつ病を理由に解雇をすることは法律上できませんが、配慮する線引きをしなければ不公平感を抱く同僚も出てきます。欠勤等があるときは、就業規則に則って評価や給料に反映させるなどのルール化も必要です。

あなたが直接の上司ならば、やきもきすることも多いでしょう。うつ状態によって苦しんでいるとはいえ、彼らは働くことに関して未成熟な場合が多いです。しかし、人材教育の一環として、まめにメンタルケアをし、仕事との向き合い方をひとつずつ教えそれを肯定していけば、最終的には一人前の人材として育っていきます。

 

(5)一線を引き、完璧にサポートしようとしない

メンタルヘルス不調者をサポートすることは、専門家でない限り大変なことです。新型うつの社員の仕事を長期にわたりカバーする中で、職場の負担も大きくなり、心身ともに疲れ果ててしまうこともあります。性格的に優しい従業員においては、うつの社員を心理面でも支えようとしがちです。

業務効率が下がり生産性が低下しないよう、当該職員とは一定の距離間をもち上手く仕事を回せるように方向づけるようにしてください。

大事な従業員であっても、その人と一生関わっていくことはできませんし、自分が関わることで相手の調子が良くなるわけではないのです。精神面に関わるサポートは医師や専門家に任せるべきです。

 

産業医や衛生管理者などの産業保健スタッフ等に支援や指示を求めたり、外部EAP(Employee Assistance Program)をはじめとする事業場外の様々な機関や専門家が行なうメンタルヘルス対策のサポートと連携することも必要です。

■まとめ

新型うつは非定型うつ病に分類されることもあり、従来のうつ病とは異なった性格の気分障害です。

一見、「甘えている」ような印象を受けますが、本人たちは非常に苦しんでおり、元気に働けるようになりたいと願っているものです。

管理監督者や人事担当者は、就業規則に基づいた人事労務管理の枠組みでの対応と、メンタルヘルス不調に対する配慮を分けて考えることとが大切です。本人の言葉に耳を傾けつつ、遅刻や欠勤、業務遂行能力の低下などの問題行動については、あくまでも人事労務管理の枠組みで対応していくようにしてください。

新型うつの社員を長期にわたりサポートする中で、同僚や上司の心理的な負担も大きくなり、心身ともに疲れ果ててしまうこともあります。ですから一定の距離間をもち、上手に付きあうコツをみつけることが大切でしょう。

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