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人事担当者によるメンタルヘルス不調者の復職対応のポイントとは?

メンタルヘルス不調が原因で休職した従業員を復職させる場合、人事担当者が必ずと言っていいほど悩むのは、「本当に復帰ができるのだろうか」という疑問です。

復職のタイミングが早すぎると従業員が再度休職してしまうことがあります。あるいは、やむを得ず退職させる場合、従業員から不当解雇で訴えられというトラブルも考えられます。

今回は従業員の復職対応のポイントについて解説していきます。

 

[目次]

■メンタルヘルス不調者の復職時に起こりやすいトラブル

■人事担当者による復職対応の5つのポイント

■リワークを活用することで得られる企業側のメリット

 

 

■メンタルヘルス不調者の復職時に起こりやすいトラブル

 

メンタルヘルス不調で休職していた場合は、本人の意向の他、主治医の見解をもとに復職が可能かどうかを判断します。しかし、メンタルヘルス不調で休職した従業員が復職する際、人事担当者は慎重にならざるを得ません。スムーズに復職できないと再休職・退職に至ったり、休職者と企業のあいだでトラブルに発展したりすることがあるからです。

まず初めに、復職の際に想定されるトラブルを見ていきましょう。

 

メンタルヘルス不調者の復職時に起こりやすいトラブル

事例①:休職者の意向を尊重しすぎ復職を早まる

休職者本人は「これ以上職場に迷惑をかけたくないから」「出世に響くかもしれないから」早々に復職したい、という気持ちを抱きやすいものです。そして会社を休んだことで一時的に調子が良くなったりすると、予定より早く職場復帰したいと会社に申し出ることがあります。

「復職可能」という診断書が出ていたとしても、あくまで日常生活が可能なレベルであり、通常業務ができるほどには回復しきっていないこともあります。

 

事例②:退職を勧奨したところ、不当解雇として訴えられた

休職期間を使い切り、それでも復職の目処が立たない従業員の場合、会社としてどこかで線引きをしなくてはなりません。しかし、休職制度の説明や退職勧奨の方法に納得のいかない従業員の中には、人事担当者や上司に個人的な恨みを持ったり、事業所を訴えたりしようとするケースもあります。

 

事例③:復職面談時の話し合いや調整が足りず、再び休職してしまった

職場の業務量や人間関係など、メンタルヘルス不調に陥った根本的な問題解決や対処を行わないまま復職させると、病状が再発する可能性が高いです。残業や休日出勤などの超過労働が原因なら仕事量のバランス調整を行ったり、人間関係が原因ならコミュニケーション方法を見直すといった工夫が必要となります。

「復職したばかりでまた休むなんてとんでもない」と自分を追い込み、症状が出てもハードに業務に当たった末、再び休職したり、最悪の場合自殺という結果になってしまった。そんな可能性もあるため、復職対応については慎重に考える必要があります。

 

 

■人事担当者による復職対応の5つのポイント

厚生労働省の事業者向けマニュアル「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」に事業所が行う職場復帰支援の内容が記されていますので、まずはそれを読み基礎知識として持ちましょう。

 

発行者:厚生労働省,発行時期:2020年7月

 

 

ここでは特に押さえておくべきポイントを解説していきます。

 

■復職対応での5つのポイント

ポイント①: 休職制度の内容を就業規則に明記しておくこと

そもそも労働基準法に休職に関する規定はありません。休職制度を設けるかどうかは各事業所の判断に委ねられています。休職制度を設ける際、組織としての方針を就業規則に明記しておきましょう。

休職できる期間・休職できる回数のほか、休職期間が終了しても復職の目途が立たない場合の対応について、社内の規定を明確にしておくことでトラブルを防止できます。

 

ポイント②:復職面談を設ける際、主治医からの診断書の提出を必須条件にする

復職が可能である旨の主治医の診断書を提出していることが、復職面談の前提です。本人の希望だけで復職を認めることは絶対にしてはなりません。診断書のないまま復職し、最終的に病気の再発・退職、自殺など従業員に損害を与えてしまったときは事業所としての責任を問われたとしても仕方ありません。

 

休職していた従業員は面談時は張り切っていることも多く、いつも以上に前向きで意欲的な発言をしがちです。ですが本人の発言を尊重しつつ、主治医や家族など第三者の意見を聞き総合的に判断する必要があります。

 

ポイント③:復職の判断基準を知る

以下は厚労省のマニュアルに記載されている復職の基準です。

 

1.従業員に従業員に職場復帰の意欲があるか?

復職に必要不可欠なのは、従業員の復職への意欲です。体力は回復しても気力や意欲がいまいち湧かない、などと言う間は、しばらく療養が必要です。

 

2.産業医等による主治医からの意見収集

休職者を復職させる際には、主治医からの診断書が必要です。しかし、主治医による判断とはあくまで日常生活に問題がないか等の診断であり、現職で本当に働けるか否かの話はまた別の問題です。

主治医と産業医の意見が異なる場合は、 原則として産業医の意見を尊重すべきとされています( 労働安全衛生法13条の3及び4 )。

産業医には月1回の作業場巡視が義務付けられていて、主治医よりも業務内容を詳しく把握しています。事業所に産業医が在籍していれば、必ず産業医の意見を仰ぐようにします。

 

3.労働者の状態等の評価

睡眠はとれているか、通勤能力は問題ないか、生活リズムは回復しているか。面談時の顔色や表情も復職面談時に確認します。またメンタルヘルス不調者の場合、服装や髪形もチェックしましょう。清潔感がある身だしなみができるかどうかは、意欲が回復したかどうかの分かりやすい基準にもなります。

加えてもし可能ならば休職者の家族から意見を聞いておきたいところです。本人は復職の意向があるが家族から見ると復職は無理だろう、という状態は、役職者にしばしばみられる傾向です。従業員の一番近くにいる家族の意見は、判断材料の一つになります。

 

4.職場環境等の評価

休職前の業務が通常の程度に行える健康状態にまで回復していればよいのですが、やはり休職前と同様の仕事をするまでには回復していないことも多々あります。医師の診断が「条件つきで復職可」とされている場合、その条件の内容を確認し、職場の受け入れ態勢を整える必要があります。

例えば、復職後3か月間は残業をしない、復職1か月は業務量、業務時間を半分に減らすこと、などといった方針を決めて従業員とその管理監督者に明示しておきます。

 

5.その他

その他必要事項、治療に関する問題点、本人の行動特性、家族の支援状況や、職場復帰の阻害要因等。

服薬中の薬の副作用について業務や通勤に支障を生じる可能性はないか?現在の通院状況は?等を確認します。

 

ポイント④:事業所がすべき配慮の範囲を知る

「すぐに通常業務ができないから」「もともと残業の多い業種だから」と言って復職を認めずに退職扱いにすると、不当解雇として訴えられてしまう事例は実際にあります。

しかしながら、復職者ばかりを長期間にわたり優遇しすぎることは現実的ではありませんし、同じ職場の従業員に不公平感を抱かせ反感を買ってしまう恐れもあります。ですから会社としては「どこまでが適切な配慮なのか」という線引きを明確にしておく必要があります。

 

事業所としてできる配慮にも限度があり、休職者の意向に合わせて際限なく配慮することが求められるわけではありません。近年の休職にまつわる裁判の事例を参考にすると、「復職後3か月程度の間は、業務量・業務時間を半分程度に減らす配慮をすれば、復職4か月目以降からは休職前と同等に働けることが見込める」場合、事業所は従業員の復職を認めるべきだとされているようです。逆に言えば、半年、1年と業務を減らす等の配慮が必要というような状態ならば、「復職に適切な回復段階ではない」とも言えるでしょう。

 

こういった復職にまつわる判断は慎重にすべきです。悩みや疑問がある場合、労務問題に詳しい弁護士に顧問に問い合わせるようにしましょう。

 

ポイント⑤:復職プランの作成・復帰後のフォローをする

ケガや出産、介護からの復職の場合と比べ、メンタルヘルス不調からの復職は再休職を繰り返してしまうケースが散見されるため、より段階的な復職プランを作成する必要があると言えます。

事業所内での復職判断や復帰後のフォローに限界を感じている場合、メンタルヘルス対策のサポートを利用することも視野に入れるとよいでしょう。社員のメンタルヘルスにかかわる問題は、コスト(人件費)・生産性・労災リスクに直結します。一朝一夕に結果が出るものではありませんが、長期的会社を支える取り組みになりますので、続けていってください。

 

リンク→職場でのメンタルヘルス不調を予防するために【3つの段階と4つのケア】

 

 

■リワークを活用することで得られる企業側のメリット

従業員が休職中にリハビリとしてリワークを利用するケースも増えています。毎日の通所の状況や、プログラムに取り組んでいる従業員の様子を復職判断の材料にできるなど企業にとってメリットも多いので、最後にご紹介します。

 

1.休職中の面接指導の効果を上げる

休職中、本人との面接ができない、または面接しても回復状況がつかめないといった悩みに対し、リワーク支援で行う相談員との面談の内容を、管理監督者や人事担当者に情報提供することができます。

 

2.復職判断に専門家の意見を聞ける

日々の通所の状況や、プログラムに取り組んでいる様子などの情報を、復職判断の材料にすることができます。主治医とはまた違った視点の意見を聞くことができます。

 

3.復帰後のサポートを受けることができる

メンタルヘルス不調は繰り返しやすいため、復職してからの面談やケアが重要です。企業と、メンタルヘルス不調を抱える社員の間に立ちスムーズな復職の支援をします。

 

障害福祉サービスのため、企業側には費用がかかりません。詳しくは近隣のリワークを提供している事業者に問い合わせてみてください。

 

リンク→休職中にリワークを利用することで得られる多くのメリット。具体的なプログラムや内容を解説

 

 

■まとめ

メンタルヘルス不調者の復職時には、様々なトラブルが起きる可能性があります。本人の意向に加え、主治医や産業医の見解を判断材料にしながら復職判断をし、スムーズに復職するためのプランや定着サポートをしていきましょう。社内での判断が難しくなっている場合、メンタルヘルス対策のサポートを利用することも視野に入れるとよいでしょう。社員のメンタルヘルスにかかわる問題は、コスト(人件費)・生産性・労災リスクに直結します。長期的に会社を支える取り組みですから、力を入れていってください。

 

 

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