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「自分のことを理解するのが一番のリワーク活動。」リワーク卒業生インタビュー

広島市西区横川にあるリワーク支援機関「ミライワーク」。

今回はミライワークでのリワーク活動を終了し 職場復帰された方のお話です。

 

■リワーク卒業生

おなまえ:じゃがアリゴさん 

年齢:30代

休職前のご職業:エンジニア

復職後のご職業:エンジニア(以前と同じ職場、仕事内容を変えての復職)

■リワークを利用した期間は?

8か月間くらいでしたね。仕事に復帰してそろそろ半年になる所です。

 

■リワークを利用するに至った経緯は?

病名としては「適応障害」でした。深田恭子さんがなったのと同じ病気です。

会社員になって十数年ですが、その中でなかなか上手くいかないことが数年間続いた状態でした。

メンタルを崩すとまではいかないまでも、「モチベーションが上がらないなあ」と感じることが続き、自分で研修などにも行ってみたのですが改善はしませんでした。

当時取り組んでいた仕事の課題が思うようにいかず、挽回しようと頑張ってみたけど上手くいかず。だましだましやってきたけど、具体的な解決策も見えませんでした。

 

(自分の担当領域が上手くいっていないのは、責任者である自分の責任だ…)

(自分が悪い、自分は役立たずだ…)

常にそんな気持ちに苛まれていました。

メンタル不調の時に 辛かったことは、何をしても 理想に対して届かないことが目に付き、達成感(自信)や展望(希望)が持てなかったことです。職場では周りから責められているような恐怖感が常にあり、針のむしろに座っているような気分でした。

 

身体的な症状としては、 腕のしびれや通勤中の吐き気があり、更に夜がぐっすり眠れなくなりました。朝4時くらいに目が覚めてそこから眠れず、重たい体を引きずりながら(吐き気を催しながら)会社に行く。土日は気持ちが楽になるんですが、月曜になると、また駄目になる…

 

(会社に行きたくない、でも行かないと。)

そう思いながら、なんとか頑張っていたんですけど、

ある朝ついに限界がきて…「もう行きたくない!!!」って。その日は会社を一日休んで病院に行き、適応障害の診断を受けました。

■人ごとではないと、どこかでは感じていた

仕事に行くのが辛くなっていた頃、芸能人のメンタル不調のニュースがテレビで報道されているのを見て、「人ごとじゃないな」とどこかで感じていました。会社の同期もメンタルを崩して休職していたので、まさか自分が?という驚きはなかったように思います。

 

仕事の引継ぎもあったので、そこから2ヶ月なんとかやり切って休職しました。幸い、上司や会社も理解してくれました。

 

少しずつ体が回復してきた時、主治医からリワークを勧めてもらいました。リワークを利用すると、再発率も下がるという統計も出ていると聞き、再発は避けたいなと僕も思ったので。広島市内のリワーク施設を何か所か見学しました。

 

■ミライワークを選んだ理由は?

まず通所のしやすさです。こちらは自宅から徒歩圏内という比較的近所にありました。リワークをやり遂げるためには通所のしやすさは大事だと思います。

実は…僕が見学した時は、ミライワークができて間もない頃でした。見学の時、施設の方と面談をしてビジョンにとても共感しました。あと、内装もいかにも事業所、って感じじゃなく オシャレで清潔感があるところは好印象でしたね。光もしっかり入って雰囲気がよかった(笑)。毎日通うんだから雰囲気がいいところがいいなあって思いました。

 

■リワークに通う前 不安だったことは?

会社の規定で休職期間が決まっていてタイムリミットがあったことです。元の会社に戻る予定で休職に入りましたが、傷病手当の支給期間は1年半。貯金が持つだろうか?とか、期間内に復職できるまで回復できるだろうか?という不安はありました。

 

■リワークに通っていた時のことをお聞かせください。

心と体のリハビリを段階的にしていきました。始めは、月曜~金曜 毎日通うというところからです。僕は歩いて通所しました。忙しく働いている頃は お日様を浴びて散歩することなんてありませんでした。川沿いの景色を眺めながら、奥さんが作ってくれたお弁当を持って、毎日通いましたね。

雨の日も風の日も、暑い日も寒い日も…今となってはいい思い出です。

 

■休職中のご自身の変化は?

体と心の知識です。具体的には、栄養の大切さと、心のトレーニング方法や心理学の知識が身に付きました。

 

主治医がなるべく薬を使わずに治療する方針だったこともあり、治療の一環として食事に気を遣うようになりました。

メンタルヘルス不調って脳内物質のバランスが乱れている状態じゃないですか?脳内物質を生成するには、材料のタンパク質の他 ビタミンやミネラルが必要なんです。食事って身体はもちろん、「心の在り方」にも影響するんだなって学びました。

 

そして、“心”についての知識が身についたことが、自分にとってかなり大きいです。認知行動療法や、ミーニング・ノート※を通して“心”について学ぶことができました。個人的にも、図書館で心理学の本を読んだり、ネットで調べたりして…僕は理系なんですが、やっぱり「理論」を知りたかったんですよね(笑)

心のトレーニングや心理学の知識を学ぶことで、何事も自分の捉え方次第なんだと気づくことができました。最終的になんで自分が適応障害になったのかも解き明かすことができたので、心の整理がつき復職への自信につながりました。

 

心と体の知識が身についたこと、それは本当に良かったです。

 

※ミーニング・ノート…ミライワークでも取り入れているノート術。1⽇3つ、チャンスをノートに書き、ノートに書いたチャンスを⾒返すことで意味づけ力が上がり、自己理解・自己認識力の向上、自己肯定感・自己効力感の向上が図れる。

 

■リワークで得られた一番の成果は?

リワークで一番良かったのは「メンタルの知識がついたこと」です。リワークって、軽作業をしたり事務作業をしたり、ってイメージがあると思います。そういったプログラムをこなすのも大事なんですが、自分のことを理解するのが一番のリワーク活動なんじゃないかな。

結局、自分のメンタルの仕組みを自分で理解するのが 一番の治療かつ再発予防になるんです。

 

メンタルヘルス不調になる人って、心が弱いんじゃなく…

その人が受けてきた教育や環境によって、物事の捉え方(認知)のベースができるんです。言い換えると「色眼鏡」。みんな、自分の「色眼鏡」を通して物事を捉え、感じたり考えたりしている。だから事実は同じでも、人によって捉え方が違います。

そうやって、その人の個性や、気質ができるわけですけど、その中でも よくないというか、過剰に自分を責めてしまったり、悪い方向にばかり考えてしまうような物事の捉え方をしている人を「メンタルが弱い人」って言葉に置き換えている気がします。

 

自分がなんでメンタル不調になったのか…

僕の場合はですが、その仕組みが自分で紐解けて…腹落ちしたので、再発するかもという不安はなくなりました。

 

■復職を決断したきっかけは何ですか?

職場復帰する際は、大前提として医師からのお墨付きが必要になります。

実は、結構前から主治医から「そろそろ復職したら」と勧めてもらってはいたんですよ。

復職を決断したのは…

自分がリワークをやる時に自分で決めた目標を、クリアできたことですね。僕がリワーク活動をやるにあたり設定したゴールは「再発の心配がないと自分で自信が持てる状態」。自分で、よし大丈夫だと納得できることが大事でした。

 

■復職後の様子

元職場に復職する時の復職面談で、仕事内容も相談の上 変えてもらいました。始めは有休を使って週3勤務から慣らしていき、3ヶ月かけて週5勤務と増やし、今は少しばかり残業もしています。睡眠がメンタルヘルスには大切だと分かったので、平日は夜11時前には寝ています。ある意味開き直って、そのままの自分を許せるようになったのは大きいです。

■メンタルヘルス不調は「心の風邪」じゃなく「心の骨折」

たまにメンタルヘルス不調を「心の風邪」って表現する方がいるじゃないですか。でも、僕は「心の骨折」って表現がしっくりくると思ってます。

メンタル不調の状態って、程度はいろいろですよね。

例えば「失恋」だと、「心の風邪」だと思うんです。一時的に辛いし悲しいけど、何か月も眠れないとか、すぐに精神疾患になるってことはないですよね。

 

でもメンタルヘルス不調の場合、長い間衝撃が続いていて、骨に小さなヒビが入り、ある日ぼきっと折れてしまう。骨が折れてるから何か月か歩くことができないし、風邪みたいに2・3日休めば治るようなものでもありません。

 

メンタルヘルス不調になっている人って、「心が折れて歩けない」状態。骨折を直すのと同じように、メンタルも休んで治す必要があります。

骨折だって、まずは安静にして骨が繋がったら、今度は歩けるようにリハビリをしますよね。また骨を折らないように筋肉を鍛え、骨を太くしておかないと、また転んだときに折れてしまうからです。

リワークでしていることは“心のリハビリ”なんです。

 

■ご自身の経験から、リワークを検討している方へ一言

特に、初めてメンタルヘルス不調になった人は、不安になって当然だと思います。

でも、もう二度となりたくないですよね。だからこそのリワークです。

心の骨組みはみんな違うし、折れた理由も人それぞれ。だから心について勉強してみることを僕はお勧めします。

最終的には自分の足で歩かないといけないんですけど、折れている足じゃ歩けませんから。全部自分でやろうとしなくていい。またしっかり自分で歩けるようになるまで、支えて助けてくれる人がリワークにはいます。

 

■参考図書(図書館で借りた本)

『なぜ自信が持てないのかー自己価値観の心理学』根本橘夫

『働き方の哲学 360度の視点で仕事を考える』村山昇

『人間関係が楽になるアドラーの教え』岩井俊憲

 

インタビュー:2022.3.5

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