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発達障害を持つ人が「報連相」を苦手に感じる理由と、その改善点

報連相(ほう・れん・そう)とは、報告・連絡・相談のことです。社会人になり、チームで仕事をするようになると、報連相が大事だと口酸っぱく言われます。

 

しかし、「報連相のタイミングがいまいち分からない…」「何を報告したらいいのか分からない…」という悩みはありませんか?

 

発達障害の人は職場でのコミュニケーションに苦手意識を持つ方が多いと言います。ここでは、発達障害の人が報連相を苦手とする理由と、どうすれば上手くいくか具体的な方法をご紹介していきます。

 

[目次]

■報連相とは?

■なぜ発達障害の人は 報連相 が苦手なのか?

■発達障害の人でも 報連相 が上手くなるコツ

 

 

■報連相とは?

 

報連相とは、「報告」「連絡」「相談」それぞれの3つの頭文字を組み合わせ、ほうれん草に掛け合わせた言葉です。就職して、上司や先輩から最初に教わるのは「あいさつや報連相をしっかりすること」です。

報連相はどの会社にも共通する、基本的なビジネスマナーなのです。

 

 

■なぜ報連相が大事なのか?

一般就労はもちろんの事、障害者雇用枠の仕事やテレワークであったとしても、報連相 は必要不可欠なスキルです。

あなたが受け持っている仕事をしている際、一見すると自分一人で仕事をしているように感じられます。

 

しかし仕事の流れを俯瞰してみると、職場全員の力で仕事を動かしているのであり、団体競技のような「チームプレー」をしているのだと言えます。

 

 

そのようなチームプレーの中においては、報連相 による意思の疎通が必要不可欠です。

報連相 ができないと仕事がスムーズに進まず、時には取引先の大きな損失を招くことになり、結果として自分の会社や上司に多大な迷惑をかける事にも繋がってしまいます。

 

ですから、仕事の進捗状況を報告したり、重要なことについて自分一人で判断せず上司に相談したりすることがとても大切なのです。

 

 

  • 報告…上司や依頼主の指示に対して、途中経過や結果を知らせること。

口頭・メール・電話など形式は様々ですが、目的は、自分の現状を伝えることにあります。依頼された時点から今に至った経緯と現状をまとめ、今後の方向性を伝えます。

気を付けなければならないのは、仕事上の失敗やミスを隠さず報告すること。

 

チームメンバーが現状を報告し、リーダーは現状を把握します。ミスや遅れがあったのなら、それを挽回するための対策を リーダーは練らないといけません。

ミスの報告はなかなか言い辛いですが、これを怠ると取引先と大きなトラブルに発展することもあり得るので気を付けましょう。

 

 

  • 連絡…情報を関係者に知らせること。

連絡の目的は、情報を関係者に知らせる、周知することです。連絡には自分の考え、推測などは含めず、

事実だけを伝えるようにします。

 

 

  • 相談…自分では判断に迷う時に、上司や先輩、得意先などに意見をもらうこと。

不明点や心配を抱えたまま仕事を進めても、生産性は低下します。自分が持っている判断材料だけでは判断しきれない際は、すぐに周りの人に相談するようにしましょう。

分からないからといって自分の自己判断で進めることは避けた方が良いです。

 

また、上司や先輩に相談する際は、「どうしたらいいですか」と漠然と聞くのではなく、「この仕事に関して、このように進めようと思っているのですが、この方法でいいでしょうか?」と、分かる範囲内で考え、それを踏まえて質問すれば、相談相手もあなたの理解度が把握できるので回答しやすいです。

 

 

■なぜ発達障害の人は 報連相 が苦手なのか?

発達障害を抱えながら働く人で、報連相 が上手くできない、と悩む方はとても多いのですが、原因は以下の様なものです。

 

  • 何を 報・連・相 したらいいのか分からない

発達障害の人は、「そもそも何を報告したらいいのか?」「どの内容まで連絡しないといけないのか?」「何を相談して、何は相談しなくてもいいのか?」が分からないと言います。

 

上司から「報告が少なすぎる!」と怒られたので、次からは頻繁に行くようにすると、今度は「そんな些細なことまでいちいち報告するな!」と怒られます。

 

例えば、自閉スペクトラムがある人は いわゆる「空気を読む」ことが苦手です。「じゃあ、何を報告しらたいいんだ」と混乱して、「結局報告しても怒られるから、今度はできるだけ黙っておこう」という結論に至ってしまうことも。

上司や仕事によって 報告すべき内容が異なるので、臨機応変な対応を苦手とする自閉スペクトラムの人は混乱してしまうのです。

 

 

  • いつ 報連相 していいのか分からない

発達障害を抱える人は、 報連相 のタイミングを計るのが特に苦手だと言います。

 

「上司が忙しそうで、いつ声をかけていいのか分からない」

「面倒だから後からまとめて報告しよう」

「何度も報連相で失敗してきたから、緊張して聞きづらい…」

 

そんな理由から、特に忙しい上司に適切なタイミングで声をかけることが難しくなります。

また、相手の状況を察することが苦手な人は、突然に自分のことをまくし立てるように話すことがあります。そんな人は、「ちょっと今いいですか」という一言を添えるようにしましょう。

 

 

  • 誰に 報連相 すればいいか分からない

直属の上司だけに 報連相 すればよいのなら混乱はありませんが、他の部署にまたがる仕事をしていると、「この仕事の相談はだれにしたらよいのだろう…」「先に先輩に相談すべきか?上司に相談するべきか?」と悩むことがあります。

 

  • うっかり報告を忘れる、気を遣いすぎて相談できない

注意欠陥多動性障害の人は注意力が散漫なため、仕事の納期に間に合わなかったり、ケアレスミスをしたりしがちです。

パニックになり上司への報連相が頭から抜け落ちる、納期に間に合わないのは自分のせいだと周囲に相談せず抱えてしまう、ということがあります。

 

  • 全体像が把握できていない

特に自閉症スペクトラムの人の場合、気になった部分的な言葉だけをキャッチして、話全体の流れを理解できなかったりすることがあります。

一部の状況しか目に入らず、小さな矛盾や変更点があると混乱し、何も考えられなくなってしまいます。

 

■発達障害の人でも 報連相が上手くなるコツ

「発達障害だから、報連相は上手くできない…」と諦めてしまわないでください。

まず、「報連相が上手くできれば、周りの人から喜ばれる」という考え方に切り替えましょう。

 

これまで報連相をしたのに「余計なことまで報告するな!」「大事なことは事前に相談しろ!」「そのくらい自分で考えられないのか」と怒られた経験があると、報連相 は上司の機嫌を損ねるもの、したくないものという思考になってしまいますよね。

 

しかし、チームプレーの中では 報連相 はとても大切なことです。

「自分は、どうしたら報連相がしやすくなるだろうか?」と前向きに考えてみましょう。

 

 

ここでは、発達障害の人でも報連相を上手くするコツを紹介します。

 

  • 報告・連絡・相談のタイミングが分からない人は…

・先にメモを上司の机に置いておく

・今よろしいでしょうか?と尋ねる

・上司と相談し、定期的に報告するタイミングを決めておく

・上司と相談し、業務のどの時点で報告すればいいのかルールを決めておく

 

  • 「何を報告すべきか」が分からない人は…

・伝える内容を整理し、メモに書いてから報告する

 

  • 誰に相談するのか分からない人は…

・基本的にはその仕事を指示、命令している直属の上司に聞く。

・業務ごとに相談する相手を決めておく(総務には、同僚には、先輩には、直属の上司にはこれ、など)

 

  • 「報連相」が頭から抜けやすい人は…

・報連相は「報連相をしよう」と思ったらすぐに行う。

仕事にのめり込みすぎると、報連相を忘れてしまうことがあります。このような失敗を防ぐため、後回しにせずすぐに行います。

 

 ・言いづらい失敗ほど早く報告する

仕事のミスを報告するのは嫌なことです。しかし、すぐに報告しないとトラブルが大きくなり、会社が損害を被ることにもなりかねません。

しかし、早めの段階で報連相をすれば上司が早めに対処でき、事態が大きくなる前に解決することにつながるのです。

 

  • 何を言いたいのか分からないと言われる人は…

・結論から伝え、その後で詳細を伝える

最初に「報告なのか、相談なのか、連絡なのか」を相手に伝える。その後に詳細を伝える。忙しく仕事をしている最中に手を止められ、本題が見えない話を延々とされると上司も苛立ってしまいます。

結論から簡潔に話すようにします。

 

・正確な情報が分からなくても、緊急時には連絡する

正確な情報が分からない場合は、正確な情報が分かってから伝えるべきです。しかし、緊急性がある場合、不確定だとしても第一報を入れておくようにします。

 

  • その他

・常にメモを持参するようにする

報連相の際に、今までの指示が変更されたり、アドバイスをされたりすることもあります。ですから必ずメモと筆記具は持参します。

 

 

発達障害がある人には、どうしても得意分野・不得意分野があります。仕事上のコミュニケーションや報連相が上手くいかないと、つい「この仕事は向いていないのではないか…」と思い詰めてしまいます。

 

しかし、自分で工夫し、報連相が上手になれば、どんな職場でも活躍できる力になりますし、上司をはじめと

する職場の人からも喜ばれることでしょう。

 

 

■まとめ

発達障害を抱えながら働く人で、報連相が上手くできない、と悩む方はとても多いのですが、報連相はどの会社にも共通する、基本的なビジネスマナーです。

仕事は一人でしているわけではなく、上司や同僚、取引先などとコミュニケーションを取りながら進めているものです。

 

報連相による意思の疎通ができないと、仕事がスムーズに進まず、効率が下がり、ミスも増加します。時には取引先の大きな損失を招くことにもなり得ます。

自分は何が苦手なのか?と不得意なポイントが分かっていれば、自ずと対処法も見つかります。報連相が上手になれば、どんな職場でも活躍できる力になりますから、どうしたら上手くいくだろうか?と考えて、工夫してみてくださいね。

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