「会社に行くのが辛い…」「不眠症が続いている…」
Aさんは、「この症状はもしかして うつ病なのかもしれない」とネット検索してみました。すると、自分と似たような症状を抱えるうつ病患者の投稿が沢山でてきました。不安がますます強くなるAさん。
病院に行った方がいいのか?でも本当にうつ病だったらどうしよう。会社はどうするのか?そんな思考が頭を巡り、ますます夜が眠れません。
この記事を読まれている人の中には、Aさんの様に症状を感じながらも、病院に行く勇気が出ないという方もいるかもしれません。しかし、病院で診断されることによって自分の状態が分かれば、それだけで気持ちがスッキリしたり、前に進んでいける可能性もあります。
そもそも、どこを受診したらいい?何を話したらいい?どんな治療をするの?
この記事ではメンタルヘルス系医院の初診に関する疑問にお答えしていきます。
[目次]
■何科を受診したらいい?どんな症状が出ていたら診断してもらうべき?
■診察の流れは?何を聞かれる?
■心療内科・精神科の受診料は?休職になった場合のポイント
■何科を受診したらいい?どんな症状が出ていたら診断してもらうべき?
・初めての受診が怖い人も…
「精神科や心療内科って、なんだか暗いイメージ」
「他の患者が怖い…」
「もしも自分に病名がついたらどうしよう…」
そんな風に考え、心療内科・精神科と聞くとハードルが高いと感じるかもしれません。
ですが、内科や眼科など他の科と大きく違う点はないので安心してください。
症状について上手く話せなくても大丈夫です。医師や看護師はコミュニケーションを取るのが難しい、上手く内面を言葉に出来ない、という人の対応に慣れています。
■どこを選ぶべきか?
メンタルヘルス不調の主な診療科目は〈心療内科〉と〈精神科〉です。
★心療内科
メンタル不調から身体に症状が現れる「心身症」を扱います。
内科などを受診して、特に異常は見当たらないにもかかわらず、胃腸の不調、頭痛、めまいなど体の不調が治らない場合は、心療内科を受診してみた方がいいかもしれません。
主な症状…倦怠感、疲労感、動悸、息苦しさ、手足のしびれ、めまい、耳鳴り、腹痛や下痢など
主な病名…心身症・消化器心身症・うつ病・睡眠障害・拒食症など
★精神科
精神疾患を扱います。
落ち込みなどの気分障害から、妄想や幻聴といった症状まで、精神の病気を治療します。また、アルコールや薬物などの依存症も精神科が専門分野となります。
主な症状…不安、抑うつ、うつ状態、不眠、幻覚、幻聴、幻聴、妄想、物忘れなど
主な病名…うつ病、統合失調症、睡眠障害、摂食障害、双極性障害、適応障害、認知症、パーソナリティー
障害、発達障害、PTSDなど
■こんな症状があったら一度 心療内科・精神科へ
精神科・心療内科を一度受診したほうがよい人の症状としては、以下のようなものがあります。
イライラする、気分が落ち込む、憂鬱、やる気が出ない、死にたいような気持になる、
食欲がない(あるいは、食欲が過剰)、不眠(あるいは、過眠)、頭痛、めまい、幻聴が聞こえる
これらが2週間以上続くと精神疾患の診断名がつくと言われます。しかし、どのような症状であれ、日常生活を送っていて辛いなと感じているのなら、2週間も待たずに一度受診してみることをオススメします。
何科に行ったらいいか分からない場合、心療内科・精神科の両方が診療科目にある病院へ行くとよいでしょう。
■クリニックと病院の違い
心療内科と精神科以外には、●●メンタルクリニック、というような診療所も耳にします。
クリニックと病院の違いですが、一言で言うなら「入院施設があるかどうか」です。
メンタルクリニックでの治療も「保険適用」「自由診療」があり、患者自身が選ぶことができます。
クリニックのメリット…施設数が多いので予約を比較的取りやすい。
病院のメリット:込み合い、待ち時間も比較的長いですが、調子が悪い時には紹介書なしで入院できます。
複数の医師が在籍しているので自分に合った先生を見つけることもできます。
■診察の流れは?何を聞かれる?
心療内科・精神科の初診も、一般的な内科の初診と流れは同じです。
・電話やネットから予約を取る
↓
・問診表の記入する
・担当医による問診
・診断結果、治療方針、薬の説明
の順番で行うことが多いです。平均的に診察にかかる時間は、30分~1時間程と言われます。
■問診の際何を聞かれる?
「医者に何を話したらいいんだろう…」「何を話していいのか分からない…」
という声も聴きます。心療内科や精神科でも、内科など他の病院で聞かれるのと同じようなことを聞かれるので、あまり重く捉えないでください。
医師から聞かれることの例は、以下のようなことです。
・どのような症状が、いつから出ているのか
・今、何に悩んでいるのか
・どんな仕事をしているのか
・食事はとれているか
・睡眠はとれているか
・生活のこと、家族と同居しているか
・希望する治療法があれば(希望しない治療法もあれば)伝える
医師と話すのが苦手な人もいるかもしれません。
そんな人は、病院に行く前にメモにまとめておくと、問診の際スムーズでしょう。
正直、自分でもよく分からない…答えたくない…ということには、「わかりません」「答えたくありません」
と伝えて大丈夫です。
診断によっては、症状を楽にするための薬を出される可能性もあります。
初診の際は、「お薬手帳」「保険証」を持っていってくださいね。
■治療法はどんなもの?
実際に診断され、実際に治療が始まると、どの様な治療法になるのでしょう。
心療内科・精神科の主な治療は〈薬物療法〉〈心理療法〉です。
〈薬物療法〉
抗うつ薬や抗不安薬、睡眠薬などの精神作用のある薬、胃腸やめまいなどの症状に対する身体作用のある薬などを使用します。
〈心理療法〉
心理療法として、主に認知行動療法を行います。これは患者の考え方やものの捉え方に気付き、気持ちを楽にしたり行動を変えていく治療方法です。
■心療内科・精神科の受診料は?休職になった場合のポイント
・かかる費用は?
初診にかかる費用は平均的には2,000~3,000円程度です。(保険適用)
心電図や血液検査を行った場合、料金は前後します。
・薬が処方された場合…2週間分で平均1,000~2,000円程度
・診断書…4,000円前後。
各医療機関へ問い合わせると正確な費用を教えてくれます。
辛いと感じるときは、ひとりで抱え込まず、怖がらずに医師に相談しましょう。
「診断されて、休職になったら困る」と、受診をためらっている方もいるかもしれませんが、治療は早く始める方が効果的です。早期受診することで、学校や会社を休まず、生活をしながら治療をしている方も多くいます。
■もし、休職になったら
しかし、もしも症状が進行してしまい、実際に休職になってしまったら。
休職中・失業中に使える支援や、福祉サービスもありますから、ご紹介します。
休職に関する心構え・使える制度・手続きに関してはこちら↓
休職中に利用できる・公的支援・福祉サービスはいくつかありますが、そのうちの一つがリワークです。
リワークとは、return to workの略語です。
精神疾患を原因として休職している労働者に対し、職場復帰に向けたリハビリテーション(リワーク)を実施する機関で行われているプログラムで、復職支援プログラムや職場復帰支援プログラムともいいます。
(引用:一般社団法人日本うつ病リワーク協会)リワークは医療機関、地域障害者職業センター、障害福祉サービス事業所(自立訓練など)で受けることができます。
休職になった時の働き方や考え方を振り返り、改善することによりスムーズな職場復帰と症状の再発を防止することが狙いです。実際、リワークを行ってから職場復帰した場合の方がそうでない場合と比べて就労継続率が高いことが明らかになっています。
治療に専念するために休職し、自宅療養をしているうちに、体力や生活リズム、仕事の感覚などをどうしても忘れてしまいます。
そこで、復帰前の方が受けられるリワークプログラムには、次のような目的があります。
- 仕事復帰に向けた生活面のリハビリをする
- セルフケアや仕事のスキルを身に着ける
- 病気になった理由を振り返り、認知トレーニングなどを用い再発防止する
- 仕事復帰に向けた生活面のリハビリをする
休職期間が長期に渡ると、生活リズムの乱れや運動不足になりがちです。ですから、まずリワーク施設へ通所する(毎朝決まった時間に起きて通勤する)ことで生活リズムを取り戻します。安定して通所することができるようになったら、集中力やコミュニケーション能力など、復職に必要な能力を回復するトレーニングを行っていきます。
- セルフケアや仕事のスキルを身に着ける
復職後、安定して長く働くために、セルフケアを学びます。
自分の病気や服用している薬に対する理解、そしてストレスへの対処法を身につけます。また、自身の疲れ具合やメンタルの状態を把握できるようにし、自己管理ができるよう訓練します。
- 病気になった理由を振り返り、認知トレーニングなどを用い再発防止する
認知行動療法などを用いて、精神疾患に至った原因となる思考パターンや行動パターンを見つめ、考え方や捉え方を前向きなものにする訓練をすることができます。
このプログラムを経ることで、仕事復帰を果たした後も同じ原因で精神的な不調を起こすことが少なくなりますよ。
■まとめ
初めて心療内科・精神科を受診する際、ハードルが高く感じがちですよね。心療内科や精神科といっても特別なことは何もなく、風邪で内科を受診するのと同じようにすれば大丈夫です。
症状や何が辛いかをメモに書いてまとめておくと、問診の際スムーズでしょう。
早期受診したことで病気を早期発見でき、学校や会社を休まず生活をしながら治療をしている方も多くいます。生活に支障をきたすような症状があるのなら、一度受診してみてください。
この記事で、初診の際の疑問・不安が少しでも解消できたなら幸いです。